2025年6月16日
お臍より下にはみなさんが思うより沢山の臓器があります。下腹部にあると想定される臓器は、大腸、小腸、尿管、膀胱、女性であれば卵巣・子宮があります。
もし下腹部が痛くなれば、腸の疾患、泌尿器系疾患、婦人科系疾患の症状かもしれません。
下腹部と言っても、おなかの真ん中あたりが痛むのか、もしくは左下腹部か右下腹部のなのか、痛みのある場所によって考えられる疾患も変わってきます。

おなかの真ん中の痛み
お臍から下のおなかの真ん中あたりの痛みがあると、男女ともに膀胱、男性では排尿(前立腺)異常、女性では卵巣・子宮の異常が考えられます。そのほか、大腸などがあるため、大腸ガンなどの腸疾患の可能性も考えられます。
右下腹部の痛み
右下腹部には、大腸の一部である盲腸、上行結腸、女性では卵巣などがあります。

➀虫垂炎
右下腹部痛と言うと、まず「虫垂炎(ちゅうすいえん)」が疑われます。
特徴は、みぞおちからへそ周辺の痛みから右下腹部に痛みが移動することです。
症状には、発熱・吐き気・おなかの圧痛(おすと痛む)があり、病状が進行し、虫垂が破れて(穿孔:せんこう)内部にたまった膿がお腹の中に広がると、腹部全体の非常に強い痛みとなり、いわゆる汎発性腹膜炎を起こすと緊急で手術が必要になることもあります。
②腸の病気
腸炎:下痢・発熱を伴う、ウイルス・細菌による感染症で右下腹部痛を伴う場合もあります。
便秘:便がたまることで腸を刺激し痛みがでます。
憩室炎:腸の壁にできた憩室とよばれる場所に細菌感染による炎症を引き起こし、痛みがでます。
③婦人科系の病気
排卵時の痛み:排卵時の一時的な卵巣周囲の痛みです。
子宮外妊娠:激しい腹痛を伴い、緊急の処置が必要です。
④泌尿器科系の病気
尿管結石:背中から下腹部かけて激しい痛みがあり、血尿がみられることもあります。
膀胱炎:排尿時痛、頻尿・残尿感などとともに下腹部痛を起こします。
左下腹部の痛み
左下腹部には大腸の一部である、下行結腸、S状結腸や、
右下腹部と同じように子宮、卵巣、尿管、膀胱などの臓器が集まっています。
➀腸の病気
腸閉塞:
大腸がんはS状結腸などの左下腹部にできやすく、がんが進行すると腸が狭くなって便秘になったり、完全にふさがると腸閉塞となり激しい腹痛、吐き気などがおこり、緊急での処置が必要となります。
大腸炎(感染性・虚血性)、潰瘍性大腸炎など
②泌尿器科系の病気
尿管結石・膀胱炎など
まとめ
右下腹部・左下腹部の痛み。
どちらも放置すれば危険です。
どんな病気であっても、長い間ほったらかしにすると命にかかわる可能性があります。
今回紹介した病気は、腹痛を起こす病気のごく一部であり、実際は詳しく検査をしてみないと、どの病気なのか診断することはできません。
激しい痛みがある場合や、軽度であっても痛みが継続する場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう!