2026年3月24日


【はじめに:糖尿病とは?】
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまう病気です。
通常、私たちの体は「インスリン」というホルモンの働きによって、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、活動するためのエネルギーとして使っています。
しかし、糖尿病になるとこのインスリンの分泌が減ったり、効きが悪くなったりします(インスリン作用不足)。
その結果、ブドウ糖が細胞に入らず血液中にあふれてしまいます(高血糖)。この状態が長く続くと、血管が傷つき、心臓や腎臓、目、神経などに障害(合併症)が起きやすくなります。
治療の目的は、血糖値をコントロールしてこれらの合併症を防ぎ、健康な人と同じように元気に生活することです。
1. 治療の目的が変わりました
これまでは「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の数値を下げることが重視されていました。最新のガイドラインでは、それに加えて以下の2点がとても大切にされています。
臓器を守る: 心臓や腎臓などの臓器を、お薬や生活習慣の改善によって守ること1。
自分に合った目標: 年齢や体調に合わせて、無理のない目標を立てること1。
2. 毎日の生活で大切にしたいこと(食事と運動)
最新の考え方では、基本的な生活習慣のポイントも少し変わってきています。
食事:質の良い食事を適量で
食べ過ぎに注意し、適正な体重(BMI 22程度)を目指しましょう。
肥満のある方では、体重を減らすことが検査値の改善につながります。
食物繊維(野菜、海藻、きのこなど)を積極的に摂ることで、血糖値やインスリンの効きが改善することが分かっています2。
運動:「筋トレ」も仲間に
ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、スクワットやかかと上げなどのレジスタンス運動(筋肉に抵抗をかける運動)を行うことが強く勧められています1。筋肉がつくと、インスリンの効きが良くなり、将来の寝たきり予防にもなります。
3. 進化したお薬の役割
最近の糖尿病のお薬は、血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する働きを持つものが増えています(SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬など)。
これらのお薬は、心不全や腎臓病の悪化を防ぐ効果が期待されており、医師は患者さんの臓器の状態を見て最適なお薬を選んでいます。
4. ご高齢の方の治療目標(フレイル予防)
65歳以上の方や、少し体力が落ちてきたかな?と感じる方(フレイル)は、血糖値を下げすぎないことが重要です。
血糖値を厳しく管理しすぎると、「低血糖」を起こして転倒したり、認知機能に影響したりすることがあります。
元気さ(認知機能や日常生活の自立度)に合わせて、HbA1cの目標値を「7.0%未満」「8.0%未満」「8.5%未満」と柔軟に設定します。主治医と相談して、あなたに合った「ちょうど良い目標」を決めましょう。
5. 緊急時の対応「シックデイ・ルール」
熱が出たり、お腹を壊して食事がとれない時(シックデイ)は、普段通りにお薬を飲むと危険な場合があります。
無理に飲まない: 食事がとれない時は、血糖値を下げる薬を減らしたり、中止したりする必要があります1。
特に注意するお薬: 以下の薬は脱水や危険な副作用を起こす可能性があるため、シックデイの時は**休薬(お休み)**することが推奨されています。
SGLT2阻害薬(おしっこに糖を出す薬)4
ビグアナイド薬(メトホルミンなど)1
SU薬(インスリンを出す薬)1
水分補給: お茶やお水、スープなどで水分をしっかり摂りましょう1。
連絡: 具合が悪い時は、自己判断せず、すぐに病院へ連絡してください。
糖尿病治療は「我慢」するものではなく、「体を守る」ためのものです。気になることがあれば、いつでも坂井クリニックにご相談ください。
