腸炎(感染性腸炎)について|守山市の内科・消化器内科・日帰り大腸ポリープ手術|坂井クリニック

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腸炎(感染性腸炎)について

腸炎(感染性腸炎)について|守山市の内科・消化器内科・日帰り大腸ポリープ手術|坂井クリニック

2025年6月02日

今年も早いもので、もう6月です。

夏にはまだ気が早いですが、これから蒸し暑くなると食べ物も傷みやすくなり、食あたりを起こすリスクも高くなります。というわけで、今回は感染性腸炎のお話です。

〇感染性腸炎とは。

細菌やウイルスの感染によって生じる腸炎です。

主な症状は、下痢、嘔気・嘔吐、発熱などです。

原因はウイルス、細菌、寄生虫があり、夏季には細菌、冬季にはウイルスが主原因になります。

細菌: Campylobacter(キャンピロバクター)、Salmonella(サルモネラ)

    EHEC(Enterohemorrhagic Escherichia coli:腸管出血性大腸菌) 

Shigella(赤痢菌) など

ウイルス:Norovirus(ノロウイルス)、Rotavirus(ロタウイルス) など

原虫:アメーバ、ジアルジアなど

細菌ではキャンピロバクターが最も多く、ウイルスではノロウイルスが多いです。小児ではロタウイルスもしばしば腸炎の原因になります。原虫による寄生虫疾患は東南アジアなどからの帰国者による旅行者下痢症として報告があります。

キャンピロバクター腸炎

Campylobacter属による感染症

代表的な菌種は Campylobacter jejuni(99%以上)

加熱不良な鶏肉や牛肉の摂取が感染リスクとなり、基礎疾患の無い若年成人に好発します。発熱(90%以上)が消化器症状に1-2日先行します。時に血便を認めることもあります。免疫正常者では抗菌薬の投与は必ずしも必要ではありませんが、発熱や下痢などの症状が重い場合は抗菌薬を使用します。

合併症には ギランバレー症候群があります。

ギランバレー症候群(Guillain-Barre Syndrome, GBS)

感冒等の上気道感染や下痢を伴う胃腸炎(キャンピロバクター感染症)の罹患1~2週間後に、手足の先にしびれや力の入りにくさが出現し、その後数日から2週間のあいだに急速に症状が進行することが特徴です。神経症状が出てから2週から4週で症状はピークになり、重症例では四肢麻痺が進んで歩行に介助を要し、10数%の患者さんは呼吸筋にも麻痺が及んで人工呼吸器を装着することが知られています。また約半数の人は顔面神経麻痺、複視、嚥下障害といった脳神経障害を生じます。頻脈、徐脈、起立性低血圧、膀胱直腸障害といった自律神経障害を伴うこともあります。治療をしなくても徐々に改善し始めて約半年ほどで多くの方はよくなりますが、1年後も歩行に介助を要する方が16%存在すると言われています。(一般社団法人 日本神経学会より)

非チフス性サルモネラ菌(nontyphoidal Salmonella)

サルモネラ属の中で、腸チフスやパラチフスを引き起こすサルモネラ菌(S. Typhi や S. Paratyphi )以外の菌種を指します。潜伏期間は8時間から72時間で、汚染された食品(鶏卵、肉類)やペット(爬虫類)などを介して経口感染します。

主に腸炎の原因になりますが、免疫低下者では化膿性脊椎炎、感受性動脈瘤の報告もあります。

腸管出血性大腸菌

代表的なものにO157:H7があり、下痢(時に血便)、腹痛、発熱などを起こしますが、重症例では溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併し溶血性貧血、急性腎不全などを呈し、小児や免疫低下者では死に至ることもあります。牛の腸管に保菌していると言われており、生(なま)や加熱不十分な肉の摂取は感染リスクとなります。

感染性腸炎の治療には脱水症の予防・改善が必要です。自力で水分補給が可能な場合は自宅安静で回復することも多いですが、症状が強い場合は医療機関を受診してください。点滴による補液、抗菌薬の投与などが必要になるケースもあります。下痢症状や血便が続く場合は他の消化管疾患との鑑別のため大腸カメラが必要になることもあります。

 当クリニックは、消化器内科が専門ですので、お困りの際はいつでもご相談ください。

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