2025年7月30日
血便には痛みを伴う場合と、痛みを伴わない場合があります。

痛みの有無は、潜在する疾患を示唆する重要な手がかり。この記事では、血便の原因から対処法、予防策まで、お話したいと思います。血便が出たら慌てず、ここで学ぶ適切な行動をとってください。
1 鮮血便に痛みもある?
1. 鮮血便が痛い時と痛くない時の対応
血便には、様々な原因があり、それには痛みが伴う場合と伴わない場合があります。痛みがある時とない時とでは、対応方法が異なりますので注意が必要です。
痛みのある場合は、急性の炎症や怪我が原因であることが多く、痛みがない場合でも重大な疾患の可能性が考えられます。そのため、血便があれば、まずは痛みを伴うものかどうかを確認することが大事です。
1.1. 鮮血便が痛みを伴う場合の病気
様々な疾患が隠れている可能性があるのです。例えば、虚血性腸炎や消化性潰瘍、あるいはクローン病のような炎症性腸疾患などがその原因として挙げられます。また、大腸がんや直腸がんなどの悪性腫瘍が原因で、血便と腹痛が発生することもあります。これらの疾患はすぐに医療機関を受診していただく必要があります。
特に、めまい・吐き気・発熱などのその他の症状を伴っている場合は、緊急性が高く自己判断で経過観察はせずに、ただちに病院で診察を受けてください。
1.2. 鮮血便が痛みを伴わない場合の病気
血便が痛みを伴わなくても、重大な疾患が隠れているかもしれません。痛みがないとしても、憩室出血や痔核、大腸がんといった疾患が隠れていることがあります。大腸がんも初期の段階では、痛みはなく症状が血便のみのときがあります。また、痔であっても出血がひどい場合や、出血が長期にわたって続く場合は、医療機関での診断が必要です。血便が何度もみられる場合は、早めの病院受診をお勧めします。
1.3. 痛みがない場合の適切な行動とは
痛みがない場合でも、血便は身体になんらかの異常があるサインです。どんな異常か把握するためには、次のようなことを確認することが重要です。
まず、血便を発見したらその色や量、形状を把握し、便器いっぱいに血便が広がっているのか、便の表面に付着する程度なのかなど詳細を確認します。次に血便は1度きりなのか、それとも何度も繰り返し発生しているのかをチェックします。さらに、最近飲み始めた薬がないか確認し、これらの情報を持って医療機関を訪れ、医師に相談してください。

2 痔なんじゃないの?
2. 痔なんじゃないの?
一般的に鮮血便は、痔からの出血であることが多く、くしゃみや咳が原因で発症することもあります。
痔には、痛みを伴わないもの、痛みやかゆみのあるものがありますが、いずれも出血を引きおこすことがあります。しかし、自己判断で痔と決めつけるのは危険です。必ず専門医の診察を受けることが大切です。血便の原因は痔だけではなく、大腸がんなどの疾患が原因である可能性もあるため、早期発見し治療することが重要です。
2.1.痔が原因となることがほとんどですが、癌も否定できない
鮮血便の原因が痔であることが多いのは事実ですが、それ以外の病気が原因である場合もあります。
特に、大腸がんは初期の段階では症状がないこともあり、痔だと思っていたら大腸がんだったという事例も多くあります。血便が出たらまず医師に相談することが大事になります。また、出血が痔であっても放置したりせず、繰り返し出血が見られる場合は貧血の原因にもなり、日常生活にも影響をおよぼすこともありますので、適切な治療を受けてください。
3 下血の原因は?
3.1. 下血の原因となる主な疾患とは
主な原因としては、やはり痔があります。特に切れ痔や内痔核による出血が多いですが、大腸癌や大腸ポリープ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、感染症、イレウスや虚血性腸疾患などの疾患が原因のこともあります。場合によっては、食道・胃・十二指腸などの出血も鮮血便の原因となることがあります。
そのため、血便を発見した際は、その量、色、痛みなどの情報を医師に伝え、適切な検査を行うことが大切です。
3.2. 切れ痔からの出血
切れ痔とは、肛門の粘膜が裂けてしまい、その結果として出血が起こる状態を指します。この場合は痛みを伴うことが多く、トイレットペーパーに鮮やかな赤い血が付着していることがあります。しかし、肛門に痛みを感じない場合でも、肛門の周囲や便器内に血が見られれば、切れ痔の存在を疑います。
やはり、痛みの有無で切れ痔かどうかの診断は難しく、専門医の診察を受けていただくことが確実です。

3.3. 潰瘍性大腸炎について
潰瘍性大腸炎は、主として粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症のことで、血便、粘血便、下痢あるいは血性下痢といった症状を引き起こします。他の症状としては腹痛、発熱、食欲不振、体重減少、貧血などが加わることもあります。この病気は、遺伝的因子とストレスや食生活の乱れなどの環境因子が複雑に絡み合って、消化管の免疫を介して腸管局所で持続的に炎症引き起こしていると考えられています。この病気の場合、便に血が混じることはよく見られることであり、鮮血便もたびたび見られることになります。慢性的な疾患のため、病気の進行を抑え、症状を管理するための長期的な治療が必要となります。
4 大腸カメラはやった方がいい?
4. 痔の可能性が高くても大腸カメラを勧める理由
血便は痔による出血が多いですが、大腸がんなどの疾患が原因である可能性は否定できません。そのため、痔と診断されたとしても、それらの病気を見逃さないために大腸カメラをお勧めします。この検査により、大腸ポリープやがんなどを早期に発見することができます。早期発見・早期治療は、病気の進行を防ぎ、治療成功率を高めるために極めて重要な選択となるのです。

5 大腸カメラでわかること
5. 大腸カメラで分かること
大腸カメラでは、直接大腸の粘膜を見ることで、血便の原因を見つけることができます。やはりただの痔だったのか、それとも大腸がんや潰瘍性大腸炎など疾患が隠れているのか判断できます。また、ポリープの早期発見と除去を行うことによって、将来的な大腸がんのリスクを減少させることも可能になります。
5.1. 大腸カメラ検査
大腸カメラは検査の前に下剤を服用していただき、腸の中をからっぽにしていただく必要があります。当院では検査時に鎮静剤を使用し、リラックスした状態で検査を受けていただくことができます。大腸カメラでは、異常が見つかればその場で生検を行ったり、小さなポリープがあれば除去したりします。血便の原因の診断や、必要な治療を判断するうえで重要な検査となります。さらに、検査を定期的に行うことで、症状の早期発見・早期治療が可能となり、健康維持に大きく寄与することでしょう。
6 血便と便秘と下痢
6. 血便と便秘や下痢の関連性
血便と便秘や下痢が同時に起こることもたびたび見られます。血便と便秘が同時に起こる場合、硬い便が直腸の壁を傷つけることで出血が発生することが考えられます。一方で、下痢と血便が同時に見られる場合は、感染症や炎症性腸疾患などの可能性があり、緊急性の高い対応が求められることもあります。どちらの症状でも、なんらかの異常の存在を疑いますので、適切な治療を受けるために早期の医療機関への受診が重要となります。
7 血便の時の食事管理
7. 血便に見舞われた時の食事管理
血便に遭遇すると、生活の中で何が問題だったのか、その対処法など戸惑うことも多いと思います。特に、食事には慎重な管理が必要になります。血便が起こる原因は様々ですが、食生活を見直すことで症状の悪化を防ぎ、回復に役立てることができます。ここでは、血便が発生した際の食事内容に焦点を当て、体に負担をかけないような食事方法について考察します。栄養バランスを保ちつつも、消化に優しい食品の選択、具体的な食事管理のポイントを説明していきます。
7.1. 血便時に避けるべき食品
血便が発生した際、特に避けるべき食品があります。胃や腸などの消化器官にとって強い刺激となったり、便を硬くして症状を悪化させる原因になることがあるため、注意が必要です。例えば、スパイスが多く含まれる料理やアルコール、ブラックコーヒーなどのカフェインを含む食品は刺激が強く、消化管に炎症を引き起こすことがあります。また、脂っこい食事や揚げ物、ファーストフードなどは消化に時間がかかり、便秘を促進する可能性があります。これらの食品を制限することで、消化器官への負担を減らし、血便の改善に繋がる可能性があります。血便があったときは、刺激性の食品や脂質の多い食品を控えるように心がけることが重要です。


7.2. 鮮血便を改善に導く食生活
消化が良く、繊維質を多く含んだ食品は、軟便を促し便通をスムーズにするために有効です。穀物の全粒粉製品や野菜、果物を積極的に摂取することで、便秘を予防し、排便をスムーズにします。また、水分摂取を増やし、発酵食品で腸内環境を整えることも大切です。発酵食品には、ヨーグルトや納豆などがあり、これらに含まれる善玉菌が腸の動きを促進する助けとなります。食物繊維と水分を適切に摂取することで、便通を改善し血便のリスクを下げることができます。


8 血便の予防と体調管理
8.1. 下血を予防する日常のコツ
下血を繰り返さないために、食事・運動習慣などの日常生活を見直すことが重要です。食事に関しては、食物繊維を豊富に含んだ食品を積極的に取り入れ、水分を十分に摂取することで便通を良くし、大腸への負担を軽減します。また、辛い物・ブラックコーヒーなどの刺激物やアルコールの過剰摂取は避けるべきです。次に、適度な運動は消化活動を助けるとともにストレス解消にもつながります。しかし、無理な運動はかえって身体に負担をかける可能性があるので注意が必要です。睡眠は身体を回復させるために欠かせない要素です。これらをバランス良く整えることで、下血の予防につながります。
8.2. 長期的な体調管理と血便
血便が繰り返し出る場合は、長期的な健康管理が必要です。体重管理から始めて、定期的な健康診断を受けることで、血便を含めた体の異変の早期発見が可能です。特に、中高年になると大腸がんなどのリスクが高まるため、定期的ながん検診(便潜血検査、大腸カメラなど)が特に重要になります。健康的な体を維持するためには、日々の小さなサインに注意を払い、長期的に生活習慣を見直す必要があります。
8.3. 抗血栓薬と血便
抗血栓薬は心筋梗塞や脳卒中の予防に用いられることが多いですが、これを服用していると血便が出やすく、また、出血が止まりにくくなります。そのため、抗血栓薬を服用している際には、血便を見つけたときの対処法を医師と十分に相談しておくことが重要です。薬の副作用が原因で生じる場合もありますし、胃腸の異常で出血している可能性もあります。抗血栓薬を内服していて、血便があった際は、迅速に対応する必要があります。安易に自己判断せず、適切な医療機関で相談しましょう。
最後に、
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