2026年6月19日

【患者さんへ】麻疹(はしか)に関する重要なお知らせ
麻疹(はしか)は、非常に感染力が強く、重症化するリスクのある感染症です。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防策を講じることで、ご自身や大切なご家族を守ることができます。以下に重要な情報をまとめましたので、必ずご確認ください。
1. 感染様式(どのようにうつるのか)
麻疹は「麻疹ウイルス」によって引き起こされ、これまで人類が直面した病原体の中で最も高い感染力を持つものの一つです 。
主な感染経路は「空気感染(飛沫核感染)」です 。
感染した人の咳やくしゃみで空気中に排出されたウイルスは、長時間浮遊し、広範囲に拡散します 。
そのため、直接的な接触がなくても、同じ密閉空間にいるだけで容易に感染してしまいます 。
免疫を持たない人が感染者と接触した場合、90%以上の確率で感染(二次感染)すると推定されています 。
2. 潜伏期間と主な症状
ウイルスに感染してから発症するまでの「潜伏期間」は、通常10日から12日間です 。
この期間は無症状ですが、発疹が出る数日前からすでに周囲へウイルスをうつす強力な感染力を持っているため、注意が必要です 。
初期症状として、38度以上の高熱、咳や鼻水、特徴的な結膜炎(目の充血など)が現れます 。
その後、一度熱が少し下がった後に再び高熱が出ると同時に、耳の後ろから顔、体、手足へと特有の赤い発疹が広がっていきます 。
肺炎(1〜6%)、中耳炎(7〜9%)、下痢や腸炎(8〜10%)、そして約1,000人に1人の割合で死亡率も高い極めて重篤な急性脳炎などの合併症を引き起こすリスクがあります 。
3. 治療について
現在、麻疹ウイルスに直接効く特効薬(抗ウイルス薬)は存在しません 。
そのため、熱を下げる薬、点滴(輸液)、酸素投与、または二次的な細菌感染を防ぐための抗菌薬投与など、症状を和らげる対症療法が中心となります 。
確実な治療法がないからこそ、ワクチンによる「事前の発症予防」が唯一かつ絶対的な医学的対策となります 。
4. 予防と対策(ご自身や周囲を守るために)
発症を予防するためには、「MR(麻しん風しん混合)ワクチン」を2回接種することが最も確実です 。
STEP 1: まずは母子健康手帳を確認し、1歳以上の年齢で麻疹を含むワクチンを確実に2回接種しているか確認してください 。
STEP 2: 記録を紛失した、または接種歴がわからない場合は、血液検査(抗体検査)を受けて現在の免疫状態を確認することが推奨されます 。
ワクチンの安全性: 接種後5〜12日頃に微熱や軽い発疹が出ることがありますが、これらは正常な反応であり一過性のものです 。
注意事項: 妊娠中の女性へのワクチン接種は絶対禁忌(打てない)とされていますのでご注意ください 。一方で、授乳中の女性は安全に接種可能です 。
5. 受診時の極めて重要なルール(院内感染を防ぐために)
発熱や結膜炎、咳などの症状に続いて「赤い発疹」が出た場合、麻疹の疑いが極めて強くなります 。その際は、以下のルールを厳守してください。
直接、医療機関に行くことは絶対に避けてください。 公共交通機関の利用や人混みも避けてください 。
医療機関の待合室で、免疫のない方や妊婦さんに感染させてしまう危険があります 。
受診する前に、「必ず事前に」かかりつけの医療機関や保健所に電話で連絡を入れ、麻疹が疑われる症状があることを伝えてください 。
医療機関の指示に従い、一般の患者さんとは別の隔離された空間で診察を受けることになります 。

監修 坂井クリニック 副院長 坂井大志
資格
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器病学会 専門医
難病指定医
所属学会
日本内科学会
日本消化器内視鏡学会
日本消化器病学会